情報の森

見方をかえてみる 世界をかえてみる

異世界備忘録

転生した。経緯は覚えていないが転生した。前世の記憶は喪失してしまっているようだが、今の世界と前の世界が全く異なることだけは把握している。今の世界は前の世界より単純である気がするが、思考のみで理解できないほどには複雑だ。よって、この世界で最も繁殖しているヒト類もすなる日記というものを、転生者の私もしてみんとてするなり。

 

●世界概観

最初に気づいたことは、世界には少なく分類しても二つの認識できる空間がある。一つは物理空間で、もう一つは思考空間。それぞれの特徴を述べると、物理空間での出来事は一定の物理法則と呼ばれるからくりがあり、条件を満たすと各個体がほぼ必ず痛いとか気持ちいとかの感覚を得るということだ。思考空間の特徴は個人の選択で自由に感覚を得られるが、物理空間より大きい感覚を得るのが難しいということだ。

それぞれの例としては、机の脚に小指をぶつけたり、運動エネルギーの大きい物体に触れると熱を感じたり、自然とヒトの個体が現実だと認識していることが物理空間。小説、テレビなどの創作を現実のように感じ泣いてしまったり、妄想により性的興奮を覚えたりするのが思考空間。

例を見ると物理空間は刺激の強い、すなわち強制力の高い思考空間と考えることができる。そのようにして見ればこの世界には思考空間だけだと考えることもできるが、物理空間の刺激の強さはかなりしつこく逃れることは難しい。一般の個体は物理空間だけと考える節があるくらいだ。それに、逃れることが難しいのなら無理に逃れる必要はなく、うまく寄り添って生きればよいのだ。

Reality is merely an illusion,

albeit a very persistent one.  アインシュタイン

●哺乳類サル目ヒト科

ヒト科は例外なく宗教を持っている。私のいる日本にいるヒトもほとんどが同じ宗教をもつ。名前はないが、信仰対象はお金と他人だ。ヒトの世界を認識する能力に限界があるためなのか、理由は釈然としないが、とにかくヒトは必ず宗教を持つ。そして今自分の持つ宗教を自覚することはできない。他人に言われても気が付くことは難しい。必ず宗教を持つというのは、すべての宗教を自覚することはできないということである。

ここで私が使用している宗教という単語は一般の定義とは異なると思うため訂正しておく。宗教とは、盲点を伴う思い込みのことを言う。例を挙げる。お墓はけらない。そこに死者がいると思い込んでいるから。お金を大事にする。それに価値があると思い込んでいるから。神に祈る。神がいると思い込んでいるから。恋人の欠点に気が付かない。彼、彼女が自分にとって最適だと思い込んでいるから。目の前にある眼鏡を見つけられない。そこに眼鏡がないと思い込んでいるから。

あなたの能力に限界を加えるものは、他ならぬあなた自身の思い込みなのです ナポレオン

誰もが自分自身の視野の限界を、世界の限界だと思い込んでいる ショーペンハウエル