まずは、1次元の直線を想像してください。
その線は、ゼロを中心に、右側が+1、+2、、。左側がー1、ー2、、、。と続きます。
この直線を右に移ることを酸化、左に移ることを還元といいます。
この数直線は酸の度合いを表しているのです。
酸の度合いが増える程、酸化されていることになります。
「還元」とはなんでしょうか。
「還」は、帰還、返還などに使われていて、もとの状態に戻るという意味です。
「元」は、手元、親元など、もとの場所ということです。
つまり、還元とは、酸化に対して、逆方向の動き、つまり数直線が減る方向の動きなのです。
酸化度の意味
上の数直線上で数字が増えることを酸化度が増えるもしくは酸化される、数字が減ることを酸化度が減るもしくは還元されるといいますが、酸化度とは何でしょうか。
酸化度とは、物質の電気の状態を表します。
つまり、酸化度が高く、+が多いほど、+に帯電していて、ーが多いほど、ーに帯電しています。
電気の状態
この世界にある力は、大きく4つに分かれます。
・万有引力
・電磁気力
このうち、私たちの日常世界で、変化が実感出来るのは、万有引力と電磁気力です。
万有引力はご存じの通り重力などを表現するものです。
そして重力以外の日常で実感できる現象は、多くが電磁気力で説明可能です。
故に、物質の+ーを教えてくれる酸化度の変化を知ることは、とても重要なのです。
※強い相互作用、弱い相互作用は素粒子レベルの現象を説明するさいに用います。
なぜ酸化度を見るのか
薬を作りたい人や、世界の仕組みを知りたい人にとって、その元素がほかの物質と反応しているかどうかを調べることは、とても興味深いものでした。
酸化度が変化することで、元素は様々な異なる性質を示します。
酸化度を知ることで、周期表の上で100数個しかない元素から、こんなにも様々な色や形のものであふれた世界の仕組みを理解出来るとすれば、とても面白いと思いませんか?
酸化剤・還元剤
相手の酸化度を上げ、酸化させる物質を酸化剤、
相手の酸化度を下げ、還元させる物質を還元剤といいます。
酸化還元滴定
滴定というのは、容量分析と呼ばれる定量分析の一種です。
基準となる容量の変化を用いて、調べたい物質の容量を調べます。
酸化還元滴定では、酸化度の変化により、滴定を行います。
酸化剤を基準試料として用いて行う滴定を、酸化滴定、
還元剤を基準試料として用いて行う滴定を、還元滴定といいます。
滴定ができる条件は以下の四つです。
・副反応が存在せず、一通りに生成物が生成する。
・未反応の物質が残存しない。平衡定数が大きい。
・反応速度が大きい。
・試料の反応が終了したときが、色の変化などにより、特定できる。
最後の一つは特に重要で、この条件を満たせるような基準試料は限られています。
以下、特に用いられる方法を紹介します。
酸化滴定
過マンガン酸カリウム滴定
過マンガン酸カリウムでの滴定の特徴は、指示薬が不要であることです。
滴定には、反応の終了を示す指示薬が必要です。
しかし、過マンガン酸カリウムを用いると、赤紫色の過マンガン酸イオンが、還元されて無色のマンガン酸イオンとなるので、酸化剤と指示薬両方の働きをするのです。
過マンガン酸カリウムを入れても、無色にならなかったとき、対象物質は全て酸化されたということです。
還元滴定
ヨウ素滴定
試料とヨウ化物イオンを反応させ、遊離したヨウ素をデンプンを指示薬として還元剤のチオ硫酸ナトリウムで滴定することで、試料の物質量を測定します。
なぜこんな回りくどい方法を用いるかというと、反応の前後で分かりやすい変化、色の変化のある手ごろな還元剤がないためです。