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編曲とは?~作曲との違い~

「編曲(アレンジ)」について知る前に、「作曲」について考えてみましょう。
●作曲
ポップスにおいて「作曲」は、歌のメロディラインとともに簡単なビアノ伴奏やコードを作る作業のこと(コードから歌メロを起こす作曲方法もある)。
楽曲の骨格や概略的なシナリオを作るのが作曲ということになります。
適当な鼻歌を歌いながらメロディを作ることも立派な作曲です。
ただ、作曲する人が必ずしも全ての楽器に関する作曲ノウハウを持っているわけではなく、「歌とピアノ伴奏は決まったけれど、他の楽器をどうつけていったらいいか判断しかねる」ということもあります。
先程の鼻歌作曲の例に置き換えれば、「メロディは決まったけど、他の楽器はどうやってつけていけばいいんだろう?」ということ。
その時に発生するのが「編曲」という作業です。
●編曲
いわば編曲は、「作曲段階で完成した未完成素案に色々な楽器をプラスしていく」作業で、作曲が骨組みなら編曲は肉付けといった立ち位置にあります。
楽曲にもよりますが、曲の性格を最終的に決めていくのが編曲者の仕事です。
少し例を考えれば……アコースティックギターを基調にしながら歌うアーティストさんの場合、歌メロやコード進行をアーティストさんが決め、他の楽器(ベース・ドラム・ピアノ・ストリングス等)は編曲者さんにお願いして楽曲を作っていく……という役割分担もあるでしょう。
具体的に各アーティストの各楽曲で「どこまでが作曲段階で作って、どこからが編曲段階のものなのか」という線引きは千差万別で、パッと聴いただけでそれを計るのはなかなか難しいものです。
作曲スキルが非常に優れた人は編曲もこなせる(逆に編曲者は作曲もする)為、作曲と編曲を同じ人が担当することもよくあります。
クラシックでいうところの作曲家はひとりで長ったらしい交響曲を完成させてしまうだけの力量がありますが、これと同じ概念で「ポップスの作曲とは何ぞや」と意識しようとするからこそ、ポップスにおける作曲と編曲にまつわる無理解や誤解があるのではないかなと思います。
また、カバー曲を見てみた時、歌メロやコードは同じであってもバックで使われている楽器や曲感はまるっきり違うものですが、そのアレンジを担当しているのが編曲者です。
だからこそ、カバー曲の良し悪しは歌い手さんだけでなく、編曲者の力量にも深く関わってくることにもなりますね。
ただ、音楽において編曲作業は絶対に必要なものでもありません。
例えば、路上でギター片手に歌うアーティストさんは歌メロとギターコードの作曲作業だけで充分で、その曲をバンドでやるならまだしも、路上活動だけだったら編曲は要らないのです。
あくまでも作曲段階での不足分を補うのが編曲です。