ドップラー効果を一言で
波源や観測者が波の媒質に対して速度を持つために波の山の間隔が変わる現象。
ドップラー効果に用いる定義
x方向へ速さ vで進む正弦波を考える
正弦波とは波源が単振動をすることで, sinもしくはcosの関数に従う位置の変化が周りに伝搬する.
x方向に対して垂直な方向への媒質の変化を変位という.
最大変位 Aを振幅という.
正弦波において隣り合う最大変位の間隔を波長λという.
媒質が一回振動するのに要する時間を周期Tといい, 周期Tの間に媒質はλだけ進むので 次式が成立する.
Tv=λ
また, 周期の逆数を振動数という.
f=1/T
振動数は1sの間に振動する回数を表す. したがって,
v=fλ
全ては相対速度
物の運動速度を考える場合、”その速度が何に対する速度か”が明示されていない場合、その速度は明確な意味を持たない。
例えば、”車が時速50kmで動いている”という表現を考えてみよう。
一見上記の表現は意味を成しているようだ。
しかし地球は地軸に対して、時速約1,666kmの速度で自転している。
そして地球は太陽に対して、時速約110,000kmの速度で公転している。
そして地球を含む太陽系は銀河系に対して、時速85万kmで公転している。
そんな太陽系の中の、地球の上の、車が時速50kmで動いていると表現してもよいのだろうか。
実は、あることが前提に着いた場合、この表現は可能となる。
それは、あるものに対する相対速度であることが示された場合だ。
実際に、上の例でみたように、銀河系に対して、時速85万kmで公転している太陽系の中の地球は、太陽に対して、時速約110,000kmの速度で公転している。
そいうことが明確に意味が取れる形で表現されている。
”地表にいる観測者に対して車が時速50kmで動いている”
これが意味のある表現ということだ。
音速は何に対する相対速度か
議論に移る前に、音速が何に対する,あるいはどのような静止系に対する速さかということをはっきりさせておく。
波というものには,それが伝わっていく媒質というものが必要である。
ここでは、音を伝える媒質は風のない、つまり重心速度が地表に対して静止している空気(媒質静止系)であるとする。
媒質静止系に対する波としての音の伝わる速さを以下では音速と言う。
確認事項
定義により
V=fλ
つまり、f=V / λ
上記の式から、振動数を変化させる要因は以下の2つ。
①音速の変化
②波長の変化(空気中で物体を動かしたところで、光と比べてはるかに小さい時、その物体の縮みは無視できる。)
音のドップラー効果では①のみを考える。
媒質静止系に対して、音源が静止して、観測者が静止している場合
この場合、観測する音速Vと波長 λ,振動数f の関係は,定義により
f=V / λ
媒質静止系に対して、音源が静止して、観測者が運動している場合
媒質静止系に対して音源が原点に静止し,
媒質静止系に対して正の座標の観測者が速度 v1でxの正方向へ運動している場合。
運動する観測者に対する音速V1は、
V1=V-v1
したがって,この観測者が観測する振動数は
f1=V-v1 / λ = (V -v1 / V)f
媒質静止系に対して、音源が運動して、観測者が静止している場合
媒質静止系に対して観測者が原点に静止し,
媒質静止系に対して正の座標の音源が速度 v2でxの正方向へ運動している場合。
媒質静止系に対して,速度 v2で xの正方向へ運動する慣性系Sで考える。
この時、音源よりも観測者側での、媒質静止系に対する音速はV+v2。
ゆえにλ' = V+v2 / fとすると、
運動する観測者に対する音速V2は、
V2=V+v2 - v2=V
f2=V/ λ' = (V / V+v2)f
媒質静止系に対して音源が運動して、観測者が運動している場合
媒質静止系に対して原点の観測者が速度 v1でxの負方向へ運動し、
媒質静止系に対して正の座標の音源が速度 v2でxの正方向へ運動している場合。
媒質静止系に対して,速度 v2で xの正方向へ運動する慣性系Sで考える。
媒質静止系に対する音速はV+v2。
ゆえにλ' = V+v2 / f。
運動する観測者に対する音速V3は、
V3=V+v2-v2-v1=V-v1
f3=V3 / λ' = (V -v1 / V+2 )f