この物理世界で電磁気的な作用を考えるとき、いくつかの定義と5つの法則を表現する方程式で説明できる。
法則
・ガウスの磁荷
クーロンの法則や電場を説明する。
・単磁荷の不存在
・アンペールの法則
流れる電流の周りには、磁場が発生する。
直線電流の周りや円電流の中心に発生する磁場を表現する。
・ファラデーの法則
磁場の変化の周りには、電場が発生する。
レンツの法則などを含む。
以上4つは、マクスウェル方程式と呼ばれる。
さらに、力を説明する際に、ローレンツ力を用いる。
・ローレンツ力
磁場の中で動く電荷が受ける力を表現する。
モーターの作動原理であるため、日常利用する様々な電化製品の作成に用いられている。
ローレンツ力とクーロン力は本質的に同じ力
電荷に作用するクーロン力とローレンツ力を見ると異なる力のように見えます。
クーロン力には電場が必要であり, ローレンツ力には磁束密度と電荷の運動が必要です。
しかし, そもそもローレンツ力とクーロン力は本質的に同じ力です。
相対性理論で説明されるローレンツ力
相対性理論によると, ローレンツ力は運動する電荷が受けるクーロン力です。
基準とする慣性系 K に対して速度 vで運動する慣性系 K′が存在したとします。
荷電粒子がその速度 vで運動しているならば, 荷電粒子から見た電磁場は, K系から K′
系にローレンツ変換した結果となります。
この変換結果から, 荷電粒子からみた電場はK'系での電場となり、荷電粒子が電磁場から受けるクーロン力はローレンツ力が含まれた形になるのです。
ローレンツ力は, 荷電粒子から見た電場によるクーロン力です。
言いかえると, ローレンツ力は本質的にクーロン力と同一の力だったのです。
詳しい説明
ローレンツ力は運動する荷電粒子が磁場からの作用によって受ける力です。
磁場があれば, 周囲が電気的に中性であっても荷電粒子は力を受けます。
そのとき, 運動する荷電粒子から見ると周囲は電気的中性ではありません。
異なる運動状態から見ると電気的中性が崩れるからです。
周囲は, 相対性理論におけるローレンツ収縮によって電気的中性が破れています。
周囲と荷電粒子が同符号の電荷をもつ場合, 斥力になるし, 異符号であれば引力を受けます。
それがローレンツ力です。
ローレンツ力はマクスウェル方程式の一部
運動する電荷の世界におけるクーロン力を受けているにすぎない。
それを外の世界からみて、「ローレンツ力」という謎の力を仮定して説明していたのです。
電流の近くを運動する電荷は、同じ速度で運動する観測者から見ても力を受けます。
ローレンツ力は相対論的効果によって発生する力です。
言いかえると、ローレンツ力は我々が最も身近に確認できる相対論的効果なのです。