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高校化学 蒸気圧降下モデルの間違い

高校化学で教わる蒸気圧降下のモデルは間違っています

高校化学では、「溶液では界面に溶質分子も存在するため気液平衡に参加できる液体の溶媒分子が少なくなるため(溶媒分子の占める面積が小さくなるため)蒸気圧が下がる」と教わります。

これは大間違いです。

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try it より引用

問題なのは溶質分子の大きさがあたかも溶媒分子と同じ大きさであるかのように描かれているところです。

この画像のように表面に位置する溶媒分子が少ないことで蒸気圧が降下するならば、溶質分子が大きいほど蒸気圧は低下するはずです。しかし、束一的性質の主張するところは「蒸気圧降下の程度は溶質物質のモル濃度のみに依存する」ことであるため、分子の大きさは関係ありません。

蒸気圧降下、沸点上昇、凝固点降下についての定性的な正しい説明は、「物質が溶媒に溶ける→単位体積当たりのエントロピーが上昇する→溶液の化学ポテンシャルが低下する→温度変化に対して溶液(液体)でいられる範囲が広くなる」です。

蒸気圧降下、沸点上昇、凝固点降下を正しく理解するためには大学の物理化学の知識が必須で高校生には困難であるためこのようなモデルで説明されているのです。

ちなみに高濃度溶液ではこの面積による効果も考慮されますが、高校化学で習うのは十分希薄な溶液についてなので、やはり上記のモデルは正しくありません。