現実の現象や事象を抽象化して、一般化して、定式化するためには、「この現象は一般化できるはずだ!」という強い、思い込みともいえる、信念が必要となる。
人の脳は、RASという機能で、自分に都合の良い情報だけを取捨選択して認知するようになっているため、一般化できると信じている人間には一般化できそうな情報だけが舞い込み、できないと思っている人間には、どう考えてもできないように思われるのは当然の摂理である。
神という究極の一般化事象を持つ、一神教信者たちのなかに、偉大な科学者が多いことにもうなずける。
この本を読むには、「世の中の事象はすべて一般化できるだろう」と思っていることが前提になるようだ。
この本の中では、数々の、現実社会を定式化する方法が、順序だてて、比喩とともに記述されている。
個人的に興味深かったのは、
・人間社会の動きを、熱力学的な動きをモデルとして考えるという方法
・神経経済学において、脳にとっての通貨はドーパミンであるという比喩
・ドーパミンは、将来見込まれる見返りに応じて作られるという事実
詳細は、是非読んでみてほしい。
また、確率分布や統計の重要性を自分で実感するための実験結果と論理が用意されている。
なぜそれらの統計的な分析が適応するに値するのか。
数々の歴史上の思想家たちが、統計的手法の利用を選択するまでの道のりが、示されている。
是非、統計分野を学習する前に理解しておきたい内容である。
数式へと至るまでの考え方を記した書籍として、非常に読む価値のある一冊である。
モジュール(英: module)とは、工学などにおける設計上の概念で、システムを構成する要素となるもの。機能単位、交換可能な構成部分。